以前よりお伝えしていたアルバム『バトル・フォー・ザ・サン』をひっさげて、9年ぶりに来日するカリスマ的グループ、PLACEBOがArt Yard informer no.12のカバーに待望の登場。新ドラマーを迎え、以前よりさらに磨きのかかった素晴らしいサウンドは全ロックファン必聴のアルバムに仕上がっている。すでにご存知の方も、そうでない音楽ファンも、すべての人に聴いてほしい。日本において貴重な足跡を残すべくサマーソニック09にやってくる彼らを絶対に見逃すな!
写真提供 solitarymanrecords
●3年ぶりのアルバム『バトル・フォー・ザ・サン』が完成しました。今の心境は?
ブライアン「ひとつの彫刻作品を仕上げたような、充実感があるよ。またこれを携えて、新しい旅に出られることにワクワクしているね!」
●今回から、ドラマーにスティーブが加入した訳ですけど。彼が加入することになったエピソードを教えてもらえますか?
ブライアン「実は前作『メッズ』を完成させてから、ボクらは迷走状態だったんだ。何をやってもうまくいかなくて、まるでブラックホールのなかで悪あがきを しているような感じだったんだ。このままじゃいけない!って感じたボクらは、ある時行った米・アリゾナでのライヴのオープニングで、ドラムを叩いているス ティーブに出会ったんだ。最初は子供がドラムを叩いてる!って思ったけど(笑)」
スティーブ「それってヒドくない!?オレ、プラシーボの大ファンだったのにさ(笑)」
ブライアン「でも気づいたら彼のパフォーマンスに釘付けになっていたよ。音楽センスがあるし、タトゥーもクールだし(笑)、彼が加入することでバンドはよ くなる!って直感したんだ。また、その後スティーブが送ってくれたビデオのなかで、彼は<バンドを通じてハッピーライフを過ごしたい>と語っていたんだ。 その言葉に、ハンマーで頭を殴られたような衝撃を感じたよ。自分達がずっと忘れていた、音楽をスタートさせた時の心境そのものだったからね。このひと言の おかげで、ボクら二人は暗闇でもがいていた状態から、光を見いだすことができたんだ」
●また、自身でレコード会社を立ち上げましたね。
ブライアン「もう訳のわからない人に、自分達が精魂込めて作ったアルバムを手渡したくなかったんだよ。ボクらの音楽をきちんと理解してくれる、信頼のおける人に任せたかったのさ」
ステファン「うん、以前はプロテクトされている感が皆無だったよね。一生懸命アルバムを作ったのにさ、あんまり見返りがなかった感じだったんだ。確かに、 現在は制作以外の部分にも目を配らせなくてはいけないし、前作までと比べてボクらが関わる仕事は倍増したけど、アルバムがどういうプロセスを経てみんなの 元に届くのかを知れたのが楽しくて、ポジティブな気分でレコーディングに臨めたね」
●最近はリンキン・パーク、マイ・ケミカル・ロマンスらと全米ツアーをまわっていましたが、その経験はどうでしたか?
ブライアン「元々、彼ら(リンキンやマイケミ)がボクらの音楽を気に入ってくれていて、声をかけてくれたのがきっかけで参加したツアーだったんだ。とても 楽しくて充実したものだったよ。彼らと共に、全米中を旅したことで、なぜか自然とオープンマインドになれたと同時に、バンドの原点を思い起こさせてくれた んだ。プラシーボってさまざまなアーティストのオープニング・アクトに登場していったことで、知名度や実力を上げていったライヴ・バンドだったということ を」
●スティーブの加入、リンキンらとのツアーを経て完成したアルバム。テーマとかストーリーがあったら教えてください。
ブライアン「これまでの作品は、ヨーロッパのマーケットにあう音楽を作ってきていた気がするんだ。メランコリーでグレイな雰囲気。特に前作の『メッズ』な んてそうだよね。あの曲をやっていると、自分も暗い気持ちになっていく。よくあんな楽曲が書けたもんだと思うよ(笑)。でも今回は違うんだ。世界中の人々 に受け入れられ、かつリスナーの感じ方によって見える風景が異なるものになったと思うよ」
●確かに、今回はダイナミックなスケールの楽曲が目立ちますよね。
ステファン「前作まではヨーロッパ出身のプロデューサーを起用していたんだけど、今回はディヴィッド・ボトレルというアメリカ人プロデューサーにお願いし たんだ。彼がグラミーをいくつも受賞している人物、ディヴィッドのおかげでこの音楽が導き出せたと思っているんだ。これまでの自分達の枠を飛び越えること のできる音楽を」
●アルバム制作にあたりこだわったことは?
ステファン「今回の収録曲は、『メッズ』をリリースした頃から書きためていたものなんだ。当時は、この曲をプラシーボで発表せずに、他のプロジェクトで発 表してもいいかな?とか考えていたから、何も制約がない状態で曲を作っていた。おかげで音楽を作るという純粋な喜びを噛み締めることができたよ。結果、い ろんなタイプの楽曲がアルバムに揃ったんだと思う」
スティーブ「自分がこのアルバム制作で課したことは、今回新しくバンドに加入したのだから、みんなの予想を裏切る新しいプラシーボ・サウンドを構築するこ とだった。だから、過去のセオリーどおりにドラムを叩くのではなく、自由な感覚を取り込んでみたよ。と同時に、オレはライヴを観て惚れ込んだバンドだから さ、そこで感じた衝撃をアルバムで再現してみようとも思ったね」
●バンドが考える今作でのハイライトとなる楽曲があれば教えてください。
ブライアン「アルバム全体を決定づける曲はタイトル・トラックの“バトル・フォー・ザ・サン”だと思う。この曲は今作でボク達がやりたかった方向性を示し ていて、つまりシネマスコープというかワイドスクリーンのようなアプローチで、パノラマ写真で撮ったような壮大な景色を描きたかったんだ。ボク達がこのア ルバムでやりたかったのはそういうことで、遠近感や奥行きだけじゃなく、広々とした幅もあるっていう。それにすごく色彩に富んだものにもしたかった」
●アルバムのリード・トラックである「フォー・ホワット・イッツ・ワース」についても教えてください。
ブライアン「僕達にとってファースト・シングルは重要で、これまでも強い主張がある曲をファースト・シングルとしてリリースしてきた。一歩前進して、これ までとは別の方向へ向かう曲を選んでいて、「フォー・ホワット・イッツ・ワース」は完全にそれにあてはまるんだ。これまで一度もやったことがないアレンジ があって、あんなに念入りにバック・ヴォーカルやホーン・セクションを取り入れたのは初めてだったし、それにすごく奇妙で型破りなロック・ソングでもあっ て、17個のアイデアを2分半の曲に押し込めたような曲だから。それに僕達にとって重要だったのは、僕達はここにいるんだってオーディエンスや世界に対し て示すことで、バンドを始めてから15年経った今でも僕達は危険を冒そうとしていて、自分達のサウンドを新しい方向へ押し広げようと努力して、すでに成功 している方法を繰り返そうとはしてないんだっていうね。この曲を選んだ理由はそこに大きく関わってると思う」
●アルバムを通じて感じてほしいことは?
ステファン「まずは純粋にアルバムを楽しんでほしい。そこから、ボクらがこめた意味とかを見いだしてくれたら、うれしいな」
スティーブ「オレはプラシーボに憧れて、いつか一緒に音楽を作りたいと願って、ここまでたどり着いたんだ。これを聴いた人も、自分と同じような夢を持ってくれたら。つまり、将来音楽をやってみたい、という思いを持ってくれたら最高だね」
ブライアン「夢や希望は、決して他人から与えられるものではない。自分の手で勝ち取っていくもの。また人生や世界には、闘う価値のある何かがあるはずなんだ。それを信じ続ける限り、未来は必ず明るい。アルバムを通じて、そんな気持ちを持ってほしいんだ」
●さて、8月にはサマーソニック出演が決定しました。これが9年振りの来日となりますが、前回の来日と今回の来日を比べて、バンドに一番変わったと思われる点があれば教えてください。
ブライアン「一番大きな変化は、キャリアにおいて初めて、自分達を信じてくれるレコード・レーベルがついてくれてるということ。これまでは大企業のメ ジャー・レーベルと契約していて、ずっと放置されてたんだ。まるで僕らなんか存在しないみたいにね。だから僕達が日本にずっと戻れなかったのはそのせい で、レコード会社がプロモーションしたがらなかったから誰もこのバンドを知らなくて、それで呼ばれなかったわけだけど。今は僕達を信じてくれるレコード会 社がついてくれてるから、すごくワクワクしてるし、やる気も満々だし、また日本に行って一生懸命ライブをやる心構えができてるんだ。僕達に興味を持ってく れる、できる限り多くの人達の前でね。自分達を信じてくれる人と仕事ができるっていうのはかなり大きな違いで、今はその実感があるんだよ」
●日本でやりたいことは?
ブライアン「しゃぶしゃぶをたくさん食べたい! 大好きなんだよ、ほんとに。普通、西洋の人はあんまり経験ないかもしれないけど、僕にとっては、日本で大好きなもののひとつなんだ」
Photo : Joseph Llanes 提供 : solitarymanrecords












