関西・大阪でクオリティーの高いグループに遭遇する機会が多いが、このキドリキドリはその中でも音楽的センスが突出している。今回はポストロック以降を生き抜くこの若き才能あふれるグループを紹介したい。Myspaceでもそのソングライティングの才能を確認することができる。こういったクオリティーの高いグループは、独特の生々しさを放ちつつ、国外へアプローチできる日本のバンドとしてシーンを牽引してくれるはず。キドリキドリ×Art Yard informerインタビュー。
●まずはキドリキドリ結成のいきさつを教えていただけますか?
マッシュ(以下M):みんな小、中の同級生なんで親交はあったんですけど、高校でみんなバラバラになったんですよ。 それで僕は高校の仲間と今思うとつまんないコピーバンドを組んでいて、二人とは疎遠になっていきました。 でもたまにンヌゥには音楽理論やテクニック的なことを教えてもらったりしていて、「コイツと組めたら何も考えないでいいな」って思ってました(笑) そいで大学入試手前くらいに真面目にバンドをしたいと思い付いて、ンヌゥに連絡したんです。 「世界で一番のバンドを組まないか?」ってThe Smithsの真似事のメールを送ったんです。 それでとりあえずキドリキドリの母体は完成したんですが、ドラマーがいなかったんです。 探しても探しても良いドラマーがいなくて、僕らが納得いくドラマー存在しないんじゃないとさえ思いました。 それで探すのを諦めて、作ればいいと思い付いて同級生だった川元を洗脳、教育し始めました(笑) 最初はとにかくヒドイもんでしたが、最近ようやくコマシになってきたかと思います。
ずっと本格的に音楽活動をしたいと思ってたからマッシュからメールをもらった時は本当にうれしかったです。
川元(以下K):ある日、先輩に連れて行ってもらったパンクバンドのライブを見に行って、ドラムにすごい刺激的な何かを感じて、その流れで1回スタジオで初めてドラムを触りました。その話をマッシュにすると『それなら…』って感じです。笑
その頃は8ビートもろくに叩けませんでした…
僕のバンド歴=ドラム歴です。
●まずはそのクオリティーの高さと、年齢のギャップに大変驚きました。UK色もさることながら、ルーツミュージック色も垣間みれますよね。個人的に"2010"を聴いて、以前、このインタビュー・シリーズでグラストンベリー・フェスに出演していた英国のthe kabeediesを取材した時も思ったのですが、これはとんでもない十代だなと。今はもう20歳になったと思うのですが、キドリキドリは早い段階から今のスタイルだったのですか?
N:そうですね。かなり首尾一貫しています。曲作りはマッシュと僕でやってるんですが、マッシュが作った曲はマッシュが歌って、僕が作った曲は僕が、とビートルズみたいな方式をとってます。あと、歌詞に関しても初めから全部英詞でいこうと決めていました。英詞だと、遠くの人にまで届かせることができますし、何より言いたい放題言えるんです(笑)
●では、音楽的に最も影響を受けたのはどういったアーティストでしょうか?メンバーそれぞれの音楽遍歴などをお聞かせください。
N:いろいろと影響を受けすぎてよくわからなくなってます(笑) でも、プレイスタイルでいえばPrimusにはかなり影響を受けました。 もともと両親が洋楽好きで、小学生の時からQueenを聴かされて育ちました。そこから80年代ロックにのめりこみ、70、60年代とさかのぼって聴くようになり、すっかりおっさんのような好みになっていました(笑) 中三からベースを始めたのですが、その時からいわゆるベースヒーローの沢山いるジャズやファンクを聴くようになり、その延長線上でミクスチャーに大ハマりしました。高校時代では、Youtubeで面白いアーティストをひたすら探し回り、気づけばプログレばっかり聴いてました。 マッシュと再会してからは、すっかり感化されてUKロックを聴きあさり、DTMを始めてからはドラムンベースにハマっています。 ミーハーというか、ただのオタクです(笑)
K:先ほどの話にも出ましたが、元々中学、高校の頃はパンク…特に青春パンクが好きでした!!ガガガSP、太陽族をヘビーローテで。 それからバンド結成時にマッシュにレッチリを教えてもらいました。 それから色んな洋楽バンドを聴かしてもらいました。 中でもBLOC PARTYを聴かしてもらい衝撃を受けたのを覚えています。
●作曲や録音のプロセスについておしえていただけますか?また作曲時や録音時にこだわっている点などがあれば教えてください。
N:作曲については、「こういったものを作ろう」といった感じではなく、あくまで一つの種から話し合いで膨らますようにしています。練って作ったものより、一瞬の閃きの寄せ集めの方が良いと思えるからです。
M:閃きってまさにその通りで五分で曲ができることだってあります。
なんでしょうね、科学者が作った爆弾のみたいに計算や実験を重ねた努力の代物というよりは、星が生まれる瞬間に起こる爆発…超新星でしたっけ?
アレに近いです。
●ライブについてお伺いしますが、キドリキドリがライブ時に一番重要視している点はなんでしょうか?また、ライブ時に印象に残っているエピソードなどはありますか?
M:キドリキドリっていうダサい名前でこんな音楽なの!?ってビックリを与えてそのままビックリを終わるまで続けさせられるかを意識してますね。 印象に残った話はやっぱりライブ後に可愛い女の子にかっこよかったって言ってもらえたこと(笑)
●現在の関西のシーンについてなにか感じていることなどはありますか?また、気になるアーティストなどはいますか?
M:よく周りのバンドマンは「盛り上がってない」とか「時代はバンドじゃない」とか言ってるんですけど、僕は盛り上がってるのか盛り上がってないかすらよく分からないです、正直。 だって僕ら今のシーンしか知らないんで、比較対象がないんですよ。 バンドブームはすごかった!なんて言われても、それ、何かで読んだことしかないし。でも今の状態でバンドが盛り上がってるのならそれはなんだか寂しいですよね。 以前ライブに来てくれた某レコード会社の新人発掘の方が言うに、月にバンドからデモテープは100本程度しか届かないらしいです。 つまり1日ざっと3本、誰でも知ってるレコード会社に届くデモテープが僕の1日に吸うタバコの本数より少ないのは残念です。 注目してるバンドはいっぱいいますよ! 最近所属レーベルが決まったArbus、凄い人たちといっぱい共演してるBone Machine、The Rachel Boogieです。 あとこの前対バンしたパンジーぶっとばす!!も最高に恰好良かったです!
N:もっと盛り上がってほしいと感じてますし、盛り上げたいです。まだまだ上にいけるはずです。まだ若い僕らですが、関西のシーンを盛り上げるために色々プランを練っています。
K:あまりよくはわからないんですが
少し前に対バンした方に『もっと若い世代で盛り上げて来れ!!』と言われたので、
盛り上げていかないといけないという使命感もありますね。
●キドリキドリがコラボレーションなどを行うとしたら、どういった事を行いたいですか?基本的にはお酒が美味しく飲める音楽だと思いますが(笑)
N:ショートフィルムとコラボしてみたいです。音と映像ってやっぱそそりますし(笑)
コラボレーションとは違うかもしれませんが、ガールズバンドのコンポーザーをやりたいです(笑)奥田民生さんがPUFFYを、リップスライムがハルカリをプロデュースしたいみたいに!!!あの〜下心とかではなくて本当に好きなんですよ僕、ギャルバンって。 ホワイトストライプスみたいな音楽をやる女子達、かっこよくないですか!?
なんかこれ売れそうな気がする…こっち一本に絞るのも将来のビジョンに入れて置くことにします(笑)やっぱり青春パンク系のバンドが好きなんで、彼らのPVに出演とかそういう地味なコラボがいいです。ターミネーターに出てたスラッシュみたいに横切るだけ!みたいな(笑)
●キドリキドリにとって、音楽や歌とはどういった意味を持つのでしょうか?
M:僕は元々、ロックの真の姿である反骨に惹かれていました。 それは未だに影響を及ぼしていてキドリキドリの歌詞は社会的な物が多いです。 そういう部分から見て、僕らにとって歌ってのは訴える手段ですね。 でもそれと同時に作品でもあると思います。僕らの曲ができる瞬間って一瞬なんですよ。普通に喋ってて「あ、こんなのどう?」って弾いてみせて「あ、いいね。ここはこうしよう」みたいなことの繰り返しなんです。 その瞬間にその一瞬で生まれるものってなんだか芸術的に思えて仕方がないで作品です。 そして音楽、これは宗教ですね。 僕は中学生のときに親が離婚してるんですが、両親がギクシャクし出したくらいから何かにすがりたくなったんです。 でも神や仏を信じれなくて何か身近なものをと探したら音楽がありました。 そこからドップリでしたね。 もらってた小遣いは全部CDに消えていきました。 そのへんも宗教って言葉がピッタリでしょ(笑)?
●では最後に、Art Yard informerの読者にメッセージをお願いします。
K:こういう素晴らしいフリーペーパーを通じて、キドリキドリを知ってもらい、音源聞きながらユラユラしてもらえると嬉し泣きします!
M:みなさん色んな事情があると思いますが、必ず音楽はみなさんの味方をしてくれるということは忘れないでください。 なんだか日本じゃライブハウスに酒を飲みに行くなんてことはないとは思いますが、音楽ってもっと身近なものです。 イヤホンやヘッドホン越しでもいいですが、是非一度ライブハウスの爆音の中でお酒を飲んでみてください。 だいたいのことは忘れさせてくれますし、その中で自分を探してみるのも大いにアリではないかと思います。
N:今の音楽って、いい意味でも悪い意味でも個性的な曲者揃いだと思うんです。だからなかなかこれだ!と思える音楽に出会えないかもしれません。ですが、ふと訪れたYoutubeで、myspaceで、ライブハウスで皆さんの好みにピッタリの音楽と必ず出会えます。なので、無限に生まれる新しい音楽を見つめ続けてください。音楽のシーンは作り手だけでは作れません。










