WARP20として堂々の帰還となるエレクトラグライド。そのステージでも大注目である、!!!(チック・チック・チック)が満を持してArt Yard informerのカバーに登場してくれた。もはや説明不要ではあるが、Warp Recordsとの活動においてもバンドが放つその素晴らしいサウンドは周知のこと。そして今回Warp20特集でインタビューを行ったアーティストの中でも、特にアーティストが表現者へ向けて発した言葉としては、とても印象深いインタビューとなったのではないだろうか。言うまでもなく、幕張メッセでは最高のステージでリスナーを魅了してくれることは間違いない。エレクトラグライドという舞台で、彼らが我々に残すであろうサウンドは、来場するWARPファンにとっても最高のギフトとなるはずだ。Art Yard informer × !!!、待望のインタビュー。 写真提供:Beatink
●まずは、バンドがどのように結成されたかを教えていただけますか?いくつかのバンドから結成されたとお聞きしていますが、何故新しいバンドを組もうと決めたでしょうか?
うーん、どうだったかな…俺のバンドとマリオのバンドが一緒にプレイしたことがあったんだ。マリオのバンドはどちらかといえば実験的なパンク寄りで、俺た ちはディスコのカバー・バンドだった。その時に一緒にプレイするのが楽しかったもんだから、俺たち両方ダンス・ミュージックをプレイするのが好きなんだ し、カバーなんかやめて、自分たちのオリジナル・ソングを作っていこうぜっ、てことになったんだ。当時バンドに参加してたメンバーは皆友だちで、ただ適当 にジャムしてるって感じだったけどね。全員が親友だったし、出来るべくして出来たバンドだったんだ。自然な流れでね。
●なるほど。どういったアーティストから影響をうけたのでしょうか?
どのアーティストからだって影響は受けるさ。敢えて言うなら、ムーディーマンだな。それに<ワープ>のクラシックな作品は全て。あとは、グレース・ジョーンズにブラック・ウフル、ニュー・エイジ・ステッパーズだな。
●では、作曲はどのようなプロセスで行われるのでしょうか?曲作りの始まりは基本的にどういうふうに行われますか?
基本のやり方は、まずビートやグルーヴを持ってきて、それをmp3に入れてサンプリング音にして、それに合わせてジャムするんだ。それからそれをバラバラ にしてくのさ。グルーヴを一度決めたら、それを少しずつにカットして異なる箇所に当てはめていく。そしたらまたジャムに戻って、それを上手く繋げて、編集 していくのさ。
●先にコンセプトやストーリーなんかを決めて曲作りを始めたりもしますか?
特別にコンセプトを決めてから曲を作り出すことはないね。あるとしても、決まっているのはどんなグルーヴを使っていくかってことだけだな。その曲にストー リーがあるとしても、それは曲が出来るにつれて後からついてくるんだ。歌詞ももちろんストーリーに関係しているけど、ストーリーは音楽そのものによって作 られるものなのさ。
●あなたのバンドは素敵な、そしておもしろい曲のタイトルがいくつかありますよね。歌詞や曲のタイトルはいつも誰が考えているのでしょうか?曲に良いタイトルを付けるコツってありますか?
そうだな…俺が歌詞を書いて、ジョンが曲を書いて歌ってたけど、ジョンはもういないからな。タイトルは俺が考えたものもあるけど、俺のお気に入りのタイト ルのいくつかには、俺じゃなくて他のヤツから考えてもらったものもある。要するに、メンバー全員がタイトルを考えるのに関わってるってことだな。お互いに ジョークを言い合ってるうちにタイトルのアイディアが生まれることもあるしね。面白いタイトルを作るのに大切なのは…別にジョークじゃなくてもいいな。な んだろう…その答えとは少し離れてるからもしれないが、俺はボブ・ディランの「イット・テイクス・ア・ロット・トゥ・ラフ、イット・テイクス・ア・トレイ ン・トゥ・クライ」はいいソング・タイトルだと思うぜ。冗談っぽくもありながら、完全に冗談というわけでもないだろ。そんな感じの、ジョークにも聞こえる けどジョークとは完全に言い切れないタイトルが俺は好きなんだ。
●なるほど。では、音楽以外のものからインスピレーションを受けるものがありましたら教えていただけますか?
多分ネコ(笑)。俺たちの周りには、常にネコがウロウロしてるんだ。だから、俺たちの考察に少なからずそれも影響してると思うぜ。あとは…ダンスやパー ティーだな。当然、この2つのために俺たちの音楽は作られてるんだからね。まぁ、大きく言ってしまえば日常の全てがインスピレーションさ。その日の気分 だってそうだし、出掛けに偶然見つけたものからだって影響は受けるだろ。過去から現在に至るまで、人生全てがインスピレーションなのさ!
●今現在、新しいアルバムについて動いているとお聞きしていますが、どのようなものになるか少しだけ教えていただけますか?
俺たちみたいなバンドらしい仕上がりの作品なんじゃないかな。俺たちのサウンドそのものって感じなんだけど、どこか未来的なんだ。ほとんどのバンドが作品 上で色々と実験的なことをやろうとして最終的には仕上がりがポップ・アルバムになっているように、俺たちの作品もどちらかと言えばポップ・レコードだな。 でも同時に、普通のポップに比べると、新しい作品はよりダークなんだ。俺たちは作品の一部をベルリンでレコーディングしたんだけど、それがこの作品がダー クになった理由なんじゃないかな。俺たちが作るサウンドは、俺たち自身の日常を反映したサウンドだからね。その中のベルリンでの生活という一部分が、サウ ンドを従来よりももっとダークにしたんだと思うよ。
●何故ベルリンという都市が、ダークさと繋がるんでしょうか?
ベルリンって良い場所なんだ。何故かは分からないけど、俺にとってベルリンは、“嵐のあと”ってイメージがあるんだよな。カリフォルニアみたいにリラック スした場所なんだけど、ヨーロッパってのもあるし、雰囲気が普通のリラックスできる場所とは少し違うんだ。すごく感動的な場所なんだよ。あそこの音楽自体 が元々少しダークってのもあるかもな。ベルリンの音楽にも、もちろん影響を受けてるし。テクノとかね。多分そういうのが影響してると思うんだ。
●レコーディングはベルリンの他にどこで?
ニューヨーク、ベルリン、サクラメントでやったよ。
●では質問を変えて、日本のポップカルチャーや音楽についてはよく知っていますか?
うーん、どうだろうな。ポップ・カルチャーはよく分からないけど…俺が日本の音楽で知ってるのは、アンダーグラウンドのものだけだよ。例えば…発音が下手 かもしれないけど分かるかな、ヨラヨラ…じゃなくて、なんだっけ…今俺iPodに入ってるんだけど読めないんだ。待ってくれよ。えーっと…君知ってるか い?アメリカでは結構知られてるんだ。彼ら最高なんだぜ!ストレンジ(奇妙な)・ポップとでもいっておこうかな(笑)今見つけようとしてるんだが…彼らが 金曜にプレイするショーがあるんだけど、俺行けないんだよな…あった!“ゆらゆら帝国”だ!俺のお気に入りバンドさ。俺は風変わりな音楽も好きだし、ポッ プも好きなんだけど、彼らの音楽にはその両方が入ってるから最高なんだ。あと知ってるのはボアダムスにメルツバウ…もっといろいろエキサイティングなやつ を知ってるはずなんだけど…そんなとこかな。
ポップ・カルチャーはどうだろう。今俺の部屋の壁を見てみると…村上隆の画が飾ってあるよ。あともうひとつ日本のがあるけど、ちょっと名前が読めないな。 アメリカでは、日本のポップ・カルチャーについてそんなに情報が多く与えられてるわけではないんだけど、取り敢えずそれを取り入れようとはしてるよ。次回 来日した後にもう一回この質問をしてくれ。今度は美術館にいくつもりだから、その時の方がもっと日本のカルチャーに触れてると思うからさ。日本の映画も何 本か見てるはずだけど、今はちょっと思い出せないしね。正直、どこのポップ・カルチャーも、俺にとってはそんなにエキサイティングじゃないんだよな。ポッ プ・カルチャーの中で評価されてる作品のトップ40に入ってるモノだって、なんかアメリカの作品のコピーっぽいものが多すぎてさ。俺にとってエキサイティ ングな作品は、ポップ・カルチャーからかけ離れたものなんだ。他と比べて、かなり変わってる作品さ。まぁ、ポップ・カルチャーにしろ、伝統的な文化にし ろ、俺はまず日本の文化についてもっと勉強しなきゃいけないな。変わってるものが好きだとはいえ、あの日本の変わった高校生たちについても知らないことだ らけだし(笑)流れに反抗したり、他と違いをつけるために彼らがアメリカのバンドを聴いたりするのか、とか、彼らもボアダムスなんかを聴くのかとか…全然 知らないよ(笑)
●では、最近あなたがハマっているアーティストかミュージシャンは?
そうだな、最近はよくミックスを聴いてる。DJディクソンとかヘンリク・シュワルツなんかのね。アニマル・コレクティヴもよく聴いてるよ。それに…ドー ドーズもそうだ。あと、新人で“Washed Out”って男性アーティストがいるんだけど、彼の作品も最高だよ。多分彼はサウス・カロライナ出身だ。
●ニューヨーク出身のアーティストがあまりいませんね?
アニマル・コレクティヴはニューヨークだろ。ニューヨーク内での好きなバンドはいくらでも言えるぜ。MGMTとかね。
●最近一番好きなシーンは、どこのシーンですか?
ドイツのダンス・ミュージック・シーン。
●アメリカ国内ではどうでしょう?
どうだろう…シーンは関係ないけど、俺はM.I.A.が好きなんだ。彼女はクールだよな。サウンドがユニークで、すごくエキサイティングだと思う。すごく 新鮮だしね。シーンじゃなくて、街で言えばロンドンよりも、西海岸よりも、ニューヨークが一番(笑)音楽に限らず、誰もがニューヨークこそ最高の街だと 思ってるはずさ(笑)
●今年はWarpの20周年ですが、いっしょに仕事をしているあなたにとって、Warpのアニバーサリーはどういった意味を持ちますか?
彼らとはずっと良い関係を築いているよ。彼らと一緒に活動しているなんて鼻が高いし、このイベントに出演することによって、彼らの歴史の一部になれるのを 誇りに思っている。<ワープ>の中でも、俺たちは特に意味のあるバンドのひとつみたいだし、このアニバーサリーに関われることをとても嬉しく 思っているよ。
●ではArt Yard informerの定番質問ですが、あなたにとって世界で最も美しいもの、そして醜いものを教えていただけますか?
……(笑)うーん……(しばらく唸る)俺が知ってるわけないだろ?(笑)まだ世界を十分に見きれてないんだから。
●じゃあ、あなたの知る世界の中でいいので(笑)
ははは(笑)じゃあニューヨーク内で。ニューヨークの中で一番美しいのは俺だな(笑)
●あなた!?(笑)
そうさ!(笑)驚くことないだろ?(笑)バンドの中でニューヨークに住んでるのは俺だけだし、他のメンバーよりも俺のほうが美しいと思わない?(笑)
●ははは(笑)では、世界で最も醜いものは?
メンバーのダン・ゴーマンだな(笑)この答えってそのまま掲載されるの?皆これがジョークってちゃんと分かるよな?(笑)ゴーマンって言葉の後にカッコ笑いをつけてくれよ(笑)
●ちゃんとついていますよ(笑)。では、あなたがインタビューしてみたいアーティストはいますか?生きている人で。
俺がもしインタビューするなら、ケンカできる相手がいいな。例えばモリッシーかプリンス。彼らは二人とも俺のヒーローでもあり、同時に俺をがっかりさせる 人物でもあるんだ。色々話させて、彼らのエゴを引き出してみたいね。バカげてるかもしれないけど、一度有名になると最終的に普通の人間として公に姿を現す ことが許されなくなる、名声のローラーコースターに捕り付かれるのがどんなものかを探ってみたいのさ。でも彼らは未だに俺のヒーローだし、俺が彼らを信頼 してることに変わりはないんだ。ただちょっと、そういう部分を掘り起こしてみたいだけさ。
●それはちょっと興味深いですね。では最後に、Art Yardの読者、そして彼らの多くを占める若いアーティストやミュージシャンにメッセージをお願いします。
この質問、日本でしか聞かれないって知ってた?(笑)他の国では、“読者やファンにメッセージを”ってのはあんまりないんだ。これは日本だけ。うっかりし てたよ。この質問が最後にくるのをすっかり忘れてた!分かってたはずなのに(笑)メッセージを考えとくべきだったね(笑)何て言おうか?(笑)俺は、サ ポートをありがとうとか、そういうお決まりのメッセージじゃなくて、本当に自分が言いたいことが思い浮かばない限り適当なことを言いたくないんだよ。わ かった!今俺が言いたいのはそれだな。メッセージは、“自分独自のことを考えて、自分自身のメッセージを伝えろ”だ。良い言葉だよな?実際、大切なメッ セージだと思うぜ。俺は読者たちに、独立心を持って欲しい。あと、これはお決まりかもしれないけど、俺たちは本当に日本が大好きだし、しばらくプレイして ないから、今度の来日で皆に会えるのを心から楽しみにしているよ。
Thank you!
●最高のメッセージをありがとうございました!










