2009.11.13に待望のニューアルバム『イノコロジー』をリリースする、INO hidefumi。ご存知、2006年に発表された『satisfaction』や、つづく2008年に発表の『Living Massage』で彼の弾き出すローズ・ピアノの世界観にノックアウトされたリスナーも数多くいるはず。今回のアルバムでは、多くの実験的な要素が盛り込まれており、リスナーと音楽的探究が楽しめる一枚となっている。そして、全曲に邦題がついているのもファンとしては見逃せない点なのである。アルバム『イノコロジー』の発売に胸躍らせるそんな中、INO Hidefumi氏がArt Yard informerのインタビューに登場してくれた。 写真提供 : innocent record
●Art Yard informerのインタビューにご登場いただき、ありがとうございます。さっそくですが、"Spartacus"のあのメロディーには本当に多くのリスナーが虜になったと思うのですが、まずはinoさんが現在のスタイルになるまでの音楽遍歴を教えていただけますか?
単純に自分の聴きたいレコードをつくりたいという思いで10年前くらいから自宅のリビングをミニマムなスタジオにして一人で制作してきました。その前は、ビーチボーイズやはっぴいえんど周辺の音楽にハマっていて5、6人でバンドを組んでいたりライヴをやったりといった感じです。
●フェンダー・ローズはいつ頃、どんなきっかけで弾くようになったのでしょうか?
ローズの音の響きと佇まいが好きで、たしか25歳くらいの時にアンディーズミュージックという中古楽器屋さんによく通っていて、そこである日状態のいいローズに出会って衝動買いしました。ローズはいろんなジャンルの音楽で、主役のパートを引き立てるような脇役的な楽器として使用されていますが、こんなに綺麗な音のする楽器を、脇役でなく主役にしたアルバムがあったら聴いてみたいなというのが始まりです。
●Inoさんは7inchレコードに重きを置いている印象があるのですが、アナログ盤との出会い、そしてレコードに対しての想い等をお聞かせ下さい。
一番最初に買ったレコードは、中学の頃のお年玉で買った『YMO』と『太陽に吠えろ』のレコード。7inchにこだわってリリースしていますが、本当は当初12inchを出したかったんです。銀行の預金口座を確認したところ、ちょうど7inch分の制作費しかお金が入ってなくて、口座からその全財産を1枚目の7inchにつぎ込んでしまったのが、7inchシリーズの始まりです。もし1枚目が売れなかったら、今の自分はいなかったかもしれません。
●Inoさんはアートワークもご自身でされているということですが、全てセルフ・プロデュースという点でのこだわり等はありますか?
何でも人任せにせず自分が携われるところは隅々まで携わることと、自分もひとりのリスナー的な立場でいることかな。
●なるほど、例えばインストゥルメンタル以外にも歌もののプロデュース等には興味はありますか?
インストものと同じくらい好きです。歌の上手い人より、個性的で存在感のある声の人に興味があります。
●それではお決まりの質問で恐縮ですが、inoさんが影響をうけたアーティストや作品を教えていただけますか?貴方のあの豊かな音楽の源泉になっているようなアーティストはきっと皆知りたいでしょうね(笑)
最も影響を受けた音楽はYMOとビートルズ。アレンジや作曲では60年代のイージーリスニングと映画音楽です。リズムやグルーヴの影響はJBを代表とするファンクビート。音のルーディーな影響はリー・ペリーとエイフェックス・ツインとか。音楽家として影響を受けているのは、細野晴臣さん、矢野顕子さん、レイモンド・スコット、ホルガー・シューカイとか、たくさんいますね。
●もうすぐ3枚目のアルバムが発売されますが、曲目に邦題がそれぞれ付いていましたが、今作のコンセプトを教えていただけますか?
コンセプト、、何ですかね。あんまりそういうことを決めずにつくるタイプなので、曲のタイトルなんかにしても正直言って後付けだったりします。邦題を付けた理由は、今回は全てオリジナル楽曲で、また歌詞のないインストの作品なので、表現の一部としてタイトルをつけました。
●ところで、アルバムのレコーディング時に印象にのこっている面白いエピソードなどはありますか?
自分が知らないところに行きたいという好奇心で、今回は1小節づつ作る方法に取り憑かれて制作しました。ある時期、スランプに陥ってしまって、20秒ほどのイントロを完成させるのに1ヶ月近くかかったり、逆にあっという間に出来上がったり。今回のレコーディングで学んだことは、変な話自分がつくっているとう感覚ではなくて、何かにつくらされている感覚というか、自分のエゴを解放していくなかで出会う「偶然と必然」の音楽が産まれたような気がします。
●「1レーベル1アーティスト」というコンセプトのもと活動されているInoさんにとって、インディペンデントであるということの魅力は何でしょうか?もちろん数多くありますが、お聞かせいただけますか?
作品の方向性からライヴのことやお金のことなど全て自分で決められることですかね。自由な反面大変なことも沢山ありますが、自分達で模索しながらやっているので、やりがいや達成感はあります。昔は国や都市ごとにサウンドの地域性みたいなのがあったと思いますが、今はインターネット環境を通じてアクセス出来る個人の時代だと思うので「1レーベル1アーティスト」というコンセプトで取り組んでいます。作品が隅々まで納得のいく形でリスナーの手に届けられればと思います。
●音楽が実際のCD盤ではなくネットで配信されていることに対して感じることはありますか?形式は携帯電話やMP3、その他いろいろあると思うのですが、音楽配信についてはどう感じられていますか?
便利なのでよくダウンロードしてipodで聴いていますが、レコードのザラついた音質や匂いが好きです。レコードジャケットを眺めながら音楽を聴いたりライナーノーツを読んだり、そのミュージシャンがどんな音楽に影響されているかというような情報をレコードから学びました。パッケージされた音楽を選ぶか、便利さと無駄のない配信の音楽を選ぶか、リスナーの皆さんの自由だと思いますが、自分が体験して来た音楽の豊かさは配信の音楽には存在しません。
●今現在、inoさんが注目している芸術家やアーティストはいますか?
砂原良徳さんの音楽は興味深いですね。
●では少し変わった質問になります。これはartyardで世界中のアーティストに共通で伺っている質問なのですが、inoさんにとって世界で最も美しいもの、そして最も醜いものとは何でしょうか?
美しいものは「快感な音楽」。醜いものは「不快な音楽」です。
●では今後のInoさんの活動の予定や、楽しみにしている事などを教えていただけますでしょうか?
11月13日(金)に、ニュー・アルバム『イノコロジー』が発売になることです。
●最後にArt Yard informerの読者にメッセージをお願いします。
どうでもよいことは流行に従い、重大なことは道徳に従い、芸術のことは自分に従う。
●なるほど、良いメッセージですね。アルバムの発売を楽しみにしております。ありがとうございました。
写真提供 : innocent record












