歌い出し数秒で聴衆を虜にする美しい声、その前衛的なトラックで我々を長編映画のワンシーンのような世界へ引き込んでくれるCojok。緊張感のあるステージの空気感、完成度の高いパフォーマンスはまぎれも無く本物のアーティストだけが持つそれである。このような緊張感は、ともすればオーディエンスとの障壁になりかねない場合もあるが、彼女たちの創り出すそれは一種の悪魔的なアトモスフィアとなって聴くものの心を一瞬にして奪い去る。この強力なライブはぜひとも一度体験することをオススメする。Art Yard informer × Cojok
Kco : ヴォイスとアコースティックギター担当のKco(ケイコ)です。もともと5年ほど前からこの2人では活動していました。当時は電子音などは一切使わず、今のCojokの骨格でもあるギター2本のスタイルで、アコースティックな音楽を。その後、いっしょに曲を創るようになり、お互いの好きな音楽の話をし
て、やりたい音楽を2人でつきつめて行くうちに、今も演奏している「Aging Tapestry」などが生まれ、それに伴って徐々にいろんな機材も加わっていき、アコギ主体のサウンドから、電子音やエフェクトなどを主体とする形に変わり、Cojokというバンドが形成されました。
ASE: ギター、コンピューター、エフェクト担当のASEです。そうですね「Aging Tapestry」を2人で生み出
して、そこからCojokが始まったのだと思います。絶対に誰もやっていないアプローチだし、この2人だからこそ生まれた凄い曲になったと感じました。スタジオで鳥肌が立ったのを今でも鮮明に憶えています。その時、他ではあり得ないような音楽を作っていけると確信しました。
●ライブでは映画のシーンが連続するような美しい歌声と前衛的なトラックで観客を魅了していましたが、あのようなスタイルになるまでには時間がかかりましたか?また、お二人はどのような音楽から影響を受
けてきたのでしょう?
Kco : 私自身は音楽というより絵画や小説などの影響の方が強いです。グスタフ・クリムトやエゴン・シーレの作品やテーマは、曲やリリックを創る上で、かなりインスパイヤされています。あと、こんな歌唱法になったきっかけは、Joan BaezやJoni Mitchell等、60年代後半〜70年代にかけてのフォークに受けた影響です。彼女たちの歌声を通して、間接的にクラシックの歌唱法を覚えたというかんじで、そんなクラシカルなヴォーカルを真似てカヴァーなどするうちに、本物の声楽に興味を持ち、発声法やコンコーネを習ったりして、今のスタイルになりました。
ASE : 僕も音楽はもちろんですが、印象派画家からの影響がとても強いです。その中でもクロード・モネの絵画からは多くのインスピレーションを得て、曲作りに大きく反映されています。「Aging Tapestry」のサウンドはモネの「睡蓮」をイメージして創りました。景色を真正面から描くのではなく、光の動き、質感の変化をいかに色彩で表現するか。それを音楽に置き換えると新たな発想が浮かんできます。それとCojokはよく"プログレッシヴ"という表現をされる事も少なくないのですが……僕のバックグラウンドでもあるピンク・フロイド、キングクリムゾンなどの要素が強く出ているのかな?って思います。もちろん北欧エレクトロニカなどの影響も強いのですが、そっちはどちらかというと、サウンド的、音創りのアイデアなどテクニカル的な面での影響の方が強いと思います。Cojokの音楽のスタイルに関しては2人で曲を構築していたら、こんな風になってしまったという感じです。何か変わった事をしようという意識もなく、ごく自然にこんなスタイルに。
●なるほど。ところでCojokというユニット名にはどのような意味が込められているのでしょうか?
Kco : バンド名をつける時、わたしたちの表現の上で重要な部分である「言語に固執しない表現」ということや、「既存するものに属すことなく唯一無二である」というスタンスを、そのまま言い当てた名前にしたいと思いました。且つ、繊細で神秘的な響きのあるものにしたいと。そこで、日本語でも英語でもなく、世界のどこを探しても唯一無二な、まったく新しい独自の言葉を創ろう、と考え、Cojok(コジョ)と名付けました。Cojokという言葉の意味を説明するとすれば「孤女」でしょうか。孤独な女の絶望や慟哭、女という生き物の持つ醜悪さや、神秘、たおやかさなどは、Cojokのすべての作品に共通するコンセプトだと思うので。
●それではCojokで使用されている機材についてお聞かせいただきたいのですが、あの不思議なトラックはどのような過程で作られていっているのでしょうか?また、使用されている楽器についても教えていただけますか?
ASE : 機材はとてもシンプル。基本はLogicとAbleton Liveがインストールされている MacBookがメインです。それとSCHECTERのストラトキャスター。このギターには音が永遠に伸びるサスティナーというピックアップを取り付けています。足下のペダル以外は、音源、サンプラー、エフェクトなどはLogicとAbleton Liveに内蔵されているものを使っていて、ライブではこれからのパラメーターをリアルタイムで動かしています。Ableton Liveに至っては、これがないとCojokは今のようなスタイルにはなっていなかったと思います。さっきも話した「Aging Tapestry」が生まれたのも、このツールがあったからこそです。コンピューターを走らせ、人がそれに合わせて演奏するのじゃなく、人のタイム感に合わせて音を重ねてゆくことができる。Cojokのライブでは「間」が命でもありますので。サウンドトラックを作るプロセスは様々なのですが‥‥‥先ずは頭の中で音を作ります。それはイメージとかじゃなく、わりと具体的に。そこから何を表現したいのか?が固まってからコンピューターに向かい、音を構築していくパターンが多いです。僕の場合、最初にコンピューターに向かうと、どうしてもアイデア先行になってしまったり、偶然性に頼りがちで‥‥‥作曲というより単なる「音遊び」的な作業になって終結するパターンがほとんどなので。
●レコーディングに際して、特に気をつけていた部分や重視しているポイントなどはありますか?また、レーコーディング時に印象に残っているエピソードなどがありましたら教えていただけますか?
ASE : 作曲、録音、アレンジ、ミックスが同時進行してるような状態だったので……気をつけていた事といえば自分を見失わないこと。実際には何度も見失いましたけど(笑)。今回はほとんど僕一人でやっちゃったので、客観的に見てくれるプロデューサーという人がいてほしかったのが正直。ミックスに関してはエンジニア的目線じゃなく、作曲の一部として取り組んでいました。逆にいうとエンジニア的な作業は僕にはできないので。かなり大胆なエディットも施していますが、これも作曲の一部。Cojokの音楽にとって、エディット=修正ではなく音楽作りの大切なファクターでもあります。エピソードといえば、リリースが決まってから作った曲と、決まる前に作った曲があって、それを並べて聴いてみたら、もの凄く違和感があって。なので前に作ったものを全て作り直しました。具体的にリリースが決まって「人に聴いてもらう」という意識レベルが強くなったのでしょうか?それが音に現れたのだ思います。いずれにせよ、かなり大変でした……今回の作品ではいかにプロデューサーという人の存在が大切なのかと痛感しました。少なくともこの時のCojokには必要だったと思います。
●現在の関西の音楽シーンについて貴方たちが感じている事などがありましたらお聞かせいただけますか?個人的にはCojokは関東のいずれかのクラブ・ミュージックのシーンにもマッチしそうな印象を受けましたが。
ASE : 大阪のシーンはあまり把握していないというのが正直でして……その中でCojokはかなり孤立した存在であるとは認識しています。色々とライブをやってきて関西と関東の人達のリアクションの違いは明確に感じました。もちろんどっちが良い悪いではないのですが、これだけ違うんだなと驚いちゃいました。
●今後のCojokの活動予定などについて教えていただけますか?
Kco : 上半期は、関西ツアー、レコ発ワンマン等、関西を中心にライブを行ってきましたが、この夏は主に関東でのライブがメインになります。今年3月に佐久間正英さんのお誘いで、unsuspected monogramさんの関西ツアーに同行させていただいたんですが、同じ面々での関東ツアーが早くも7月に実現することになりました。共演のバンドさんがどの方も本当に物凄い面々なので、今からとても楽しみです。日程と会場は決定していて、ウェブで発表しています。
ミュージシャンの方々が集まり、これから新しい事が始まろうとしてい
ます。まだ公表はできないのですが、Cojok
にとって大きな転機になるのは確実です。3月の関西ツアーでは素晴ら
しい出会いに恵まれ、世界が一気に広がった感じ。6月頃には公表でき
ると思います。業界の方々もきっと驚かれると思います。
●では、Art Yard informerの読者にメッセージをお願いいたします。
Kco : インタビューを最後までお読みくださりありがとうございます。少しでもわたしたちの音楽に興味を持っていただけたなら嬉しいです。4/7にリリースしたばかりのファーストアルバム、「CRYSTAFIR(クリスタフィア)」が発売中です。Cojokの世界観を初めて音源化した作品であり、渾身の一作です。こちらもぜひお手にとってみてください。
ASE : なかなか自分たちの音楽を言葉にする事って少ないのですが、読者の方が少しでもCojokに興味をもっていただけたなら幸いです。「CRYSTAFIR」は、1本の映画を観る感覚で聴いていただけたら嬉しいです。聴き終わったら外の景色がいつもと違って見えると思います。Cojok Myspace Music http://www.myspace.com/cojok










