10回目を迎えたArt Yard『SQUARE PACK』展へ出展した作家作品をご紹介。今回は見た目にも鮮やかな作品も多々見られ、CDジャケットを意識したタッチも数多く楽しむことができました。O-nest会場でゆっくりご覧になれなかった方にも、全作家の作品群の一部をそれぞれご紹介できれば幸いです。
来年はどのような作品がみなさんの心に残るでしょうか?今年の展示参加作家も、モチベーションの高い方が多く集まりました。2012年も、アートと音楽の年でありますよう!それでは、下記より各作家の作品をご覧ください。
渡辺なぎさ
デジタルイラストながらもアナログ感のある作品の渡辺なぎさ。どこか土っぽさがあり、有機的なモチーフがシュールに散りばめられている好作品。
いわさきひろこ
ファンタジックなテーマで出展してくれたいわさきひろこの作品。彼女もデジタル主体だが、童話的暗さが非常に印象に残った。装丁されたワンオフの絵本のような作品も見てみたいと思わせてくれる。
KOWALSKI(コワルスキー)
こちらはKOWALSKIの作品。シルエットの美しさが際立っている。こういったヴィヴィッドな原色感や適度なポップさは最近の柿川健太作品にも通じるものがあり、新たなシーンの息吹を感じさせる。
【goma】
海と空をテーマにシャープで美しいデザインが映える。生き物の繊細な曲線が溶け込みつつも、テクノ的な風合いがクラブ・ミュージックを彷彿させる作品。
akkki
映像作品やVJとしての活動もおこなっているakkkiの作品。多分にその影響を感じる作風は一見してミニマル/アンビエントなどとの親和性の高さを感じさせてくれた。
ham
hamによるペンを使ったシュールな世界。シャドウを構図の中に入れるのは実は難しいが、丁寧に描画されている。文章による表現や銅版画も手がける作家らしい作品である。
hitomi sakano
輪郭にサイケデリックな配色は斬新で驚きがある。ペン画が主体とのことだが、色彩をラインに使用する作家は少なくもある。今後は雑貨も製作予定ということで、そちらも楽しみである。
honamatsui
ダイナミックな動きと静止感が混在しているミクスチャー感が明るく、好印象な作品。映像アニメーションも製作しているようなので、実際に動いている作品にも注目したい。
kaji
デザイナーとしても活動しているkaji。花のモチーフのシリーズは線画の繊細さが楽しめる。映像作品に落とし込んだら・・・と想像させてくれる。ジャケットだけでなくしおりやタグ的な作品も似合うのだ。
kalo / カロ
昭和の絵本的な風合いを個人的には強く感じた。ツメとキバの剥離感がおもしろく、抽象的すぎないポップさがとても印象に残った。
kery-boy(ケリーボーイ)
ボールペンによる作品。どこか記号的でもあるが、しかし無機質ではない何か。「音を感じさせる絵」というコンセプトを聞かされる前にそう感じた。
Naomi Nemoto
前回に続き、インパクト大!なおなじみのキャラクターはNaomi Nemotoによるもの。このカラーとキャラクターは様々なアイテムにマッチする。塗り分けのフェティッシュさに注目。
nappy
可愛さと負のテーマをいつも同時に表現してくれるnappyの作品。彼女の作品は、いつもどこかに毒性があり、そこが面白い。刺激的なモチーフを上手く隠しているのだ。
nomo
建築出身らしいデザインで出展してくれたnomoの作品。どこか80'sな雰囲気でありながらも、明るすぎない幻想的な空気感を持っている。少し前のコンピュータによるグラフィックを彷彿させる。
OBARY/オバリー
異なる質感のモチーフが混在するコラージュできらびやかな風合いが魅力的な作品。繊細な色使いで各所に施された細やかな模様が見た目にも楽しい。
popop
独特の構成が目を引いたpopopの作品。鮮やかな蛍光色的な配色と、モチーフの創り出す奥行きに不思議な錯覚を覚える。
Rumpeeノ助
先日、8ottoの二曲同時配信の際にサイトトップで使用されているアーティスト・フォトに作品を提供したRumpeeノ助の作品。今回はサイケデリックな作風で。
suamarch プロフィール
cololino(コロリーノ)、やまざきももこによるイラスト&デザインユニットによる作品。クラフト感満載のコラージュは写真系とはまた違った温かい魅力を感じる。
ui
楽器を奏でる佇まいをチャイルド画材でシリアスに表現してくれているui。淡い雰囲気がどこか懐かしくてほっとする作品。
うつつ ゆう
アナログ制作中心に心象風景を描いている うつつ ゆうの作品はとても繊細でスタイリッシュだった。会場での他の作品も非常にインパクトがあり、心に残った作家の一人である。
カクライミサト
プロッキーの8色セットで描かれている潔さと、構図のポップさがとても好印象なカクライミサト作品。キャラクターのインパクトも強い。
キタマキ
楽しげなアイコン作品に心なごむキタマキによる作品。車の「顔」にも多くの個性的な表情が見て取れるので、眺めていて楽しくなる。
クドウユウナ
薄めの色彩できちんと質感を感じるイラスト作品を出展してくれたクドウユウナ。かわいらしいモチーフに後味のしっかり残るキャラクター性が隠されている。
コジロウ・ジュン
写真コラージュにビビッドなイラストが施されている良作品。デジタル作品ながら、もともとの素材の表情をさらに際立たせる色彩感覚も非常に優れている。
立岩 絢野
音楽系ライブ写真を中心に活動している立岩 絢野の作品、今回は黒バックでの高精細な内容。モチーフが発する感情を得られるかのような雰囲気を表現している。
ソウノ ナホ
70's的なタッチで見た目にも立体的なソウノ ナホの作品。レトロでサイケデリックな作風は若々しさと同時にアイテム制作への親和性を感じる。
たね いさこ
アジアンテイストがひとくせあるこの鮮やかな作品はたね いさこによるもの。自由な雰囲気で音楽を楽しむ様など、細やかな設定をつぶさに眺める楽しみがある。
とくながかよこ
物語の一幕のようなあたたかみのある作品。フロントカウルの恐竜の頭と、周囲の色合いのギャプにとてもセンスを感じる。
ナカオハルカ
線を主体に構成された無輪郭を含む構図がさわやかなナカオハルカ。さりげなく浮かび上がるようなワンポイント的な雰囲気が心地よい。
ひばり
丁寧にカラーリングされたキャラクターたちが小さな楽しい世界を彩っている。曲線が秀逸で、とても安心して観られるキャラクター作りの技術の高さが目立っていた。
フクザワ
root13で制作をしているフクザワの作品。抽象的でありながら浮かび上がるモチーフはしっかりとした存在感が感じられる。アニメーションにも期待。
フクモトエミ
うねるような背景の彩色にグっときた。さまざまな素材でも観てみたいと思わせるディープな色使いと同時に、アイテムとしての触れやすさ・気軽さも感じられる。
ミグモグラフィックス
撮影画像と手書きのコラージュを中心に活動しているミグモグラフィックス。映像映えもするようなラインティング的質感がとてもクール。動きを感じる作品。
ミゾグチ
色使いにかなりヨーロピアンな雰囲気を感じたこの作品、異なる質感が混在してもうるさくない表現に独特のバランス感覚がある。カラフルでありながら、その印象は安定感や重さを感じるのだ。
ヤス・タグチータ
キャラクターにレトロ80'sの雰囲気を非常に強く感じた作品。ロゴのポップさと、消えずに残っているどこかリアルなディテールが、ディフォルメのお手本となり得る好作品。
ルリ・マグネット
美しい点描手法でひんやりとした作品を出展してくれたルリ・マグネット。Art Yard界隈でもおなじみ、渋谷ギャラリー・コンシールでも初個展を行った彼女に注目。
鮎川スイ
ほのぼのとした雰囲気の中にも、モチーフ同士の混沌とした違和感を楽しめるこの作風。不可思議な世界を創り出しているが、それこそがリアリティーなのかもしれない。
沖津しおり
テープ・レコーダー世代ではない視点から見たそれはかくもポップなのか、とハっとさせられる。感覚の更新を余儀なくされた、引っかかりとっかかりの強い、印象的な作品だ。
鴨井雅俊
カートゥーンを学んだ作家の作品らしいダイナミックな描写が想像力をかき立てられる。動く作品を見てみたいと激しく感じた作品のひとつ。写実的と感じさせてくれる非写実な色使いにも魅力を感じる。
宜也 -YOSHINARI-
サイケデリックかつグラフィティーの要素も感じさせる作品。あらゆるアートボードにマッチしそうな勢いに心を動かされる。
久保いさこ
ネオンと極彩の世界。日常をフィルターを通して見る密かな楽しみを見出せるところに良さがある。さまざまなモチーフの中から何を選ぶのか、その選択をもっと見てみたいと思わせてくれた。
宮崎 章 / みやざき あきら
カードイラストなども手がけている宮崎 章による作品。作品をセル・アイテムへ投影したときのワクワク感を禁じえない表現テクニックを持っている。非常に魅力的な作家だ。
向平真由美
感情を表現のテーマとしているこの作品、非常に美しいグラデーションで表現されており、読み取る行為そのものを興味深くさせてくれる。
工藤諒二
透明感溢れる色彩とパッチワーク的デザインも秀逸な作品。キャラクターの持つ繊細な表情表現にも目がいく。しっかりとしたデッサンにも安心を感じた。施されたシャドウも細やかで美しい。
三明 由布
不思議なキャラクターに毒もすこし感じられる三明 由布のこの作品。なんとなく、ケミカルなお菓子を彷彿させる色使いと、それらを活かすための線が合わさった美しさがとても魅力的だ。
小林実穂
子供向けイラストや絵本などを制作している小林実穂の作品。シンプルでわかりやすいという要素も、受け取る側への橋渡しとして必要な事である。そういったシンプルさに魅かれる。
松村早希子/Sakiko Matsumura
大胆な構図で圧倒する作品を出展してくれた松村早希子。実際の出展作品も色鮮やかだけではないインパクトを残していた。抽象/具象以前に、このダイナミックさを推したい。
上田和也(kazy)
グラフィックデザイナーらしい作風に切り替えて出展してくれたKazy。アメリカンコミック調の持ち味を今回は封印しての出展。素晴らしく緻密に描き込まれた作品に来場者が見入っていた。
城倉裕紀
銅版画などを強く意識させてくれるこの作品、どこか古代めいた印象が不思議な魅力を放っている。アニメーション制作の場合にこの作風がどのように活かされるのか、楽しみである。
青木 猛(Takeshi Aoki)
非常にオーソドックスなこの構図も、この色合いで強いインパクトに生まれ変わる。こういったものは、古い年代の米国サインボード風な色合いを感じさせるのだが、巡り巡って本展で楽しむことができた。
川本陽三(カワモト ヨウゾウ)
コラージュから生まれる新しい世界。一つづつが別の世界に存在していたかと思うと、とてもワクワクする。そんな感情を掘り起こさせてくれた作品だ。
谷阪美由紀
個人的にも、この少女漫画的な作風が強く心に残っている谷阪美由紀の作品。今回はタッチの違うものも含まれていたが、この作風がレトロで心地よい。
池澤奈穂子
膠彩画出身らしいカラーピックが個性的。可愛さよりも丁寧さの創り出す色の重みに興味をそそられる。こういったタッチはサイズの大きな作品も気になるところだ。
中嶋友美
こういったアイデアはとても秀逸で、現場で求められることの多い(そして苦労もする!)ことだ。この作品は、発想のレンジが豊かでなければ出てこないそのような素敵なアイデアに満ちている。
長谷川 小夜 / Hasegawa Sayo
ミリペンによる細やかな線画の美しさを堪能させてくれる長谷川 小夜の作品。ボディーペイントの活動もおこなっており、平面以外のアプローチも楽しみな作家だと感じる。
渡辺泰子
ライトな作風がジャケットにはマッチしそうな渡辺泰子作品。ロゴなどが入って来たときにもガラリと印象が変わりそうな気配。中央の生き物の表情に注目した。
徳山きみあき
しっかりとしたデッサン力を駆使して描かれている徳山氏の作品はさらに味を増した印象である。ペンによる簡略化の美学がしっかりと散りばめられている。ポイントをおさえたカラーリングも見逃せない。
少女絵師・姫苺
セル画的表現がいつも目に鮮やかな姫苺。今回はこの作品からは明るい印象も受けた。初期から参加してくれている作家のひとりであり、アイロニックなキャラがお気に入りのアーティストでもある。
ゑみ
大芸からはカラフルなリボンを散りばめた作品を出展してくれたゑみ。ジャケット以外にも落とし込むアイテムによってはさらに魅力を増しそうだ。レイヤー感と塗り方のバリエーションの豊富さが素敵。
豊島 舞
3月18日にartyard studioで個展を予定している豊島舞の作品。毛糸製の鳥作品『birdric』を手がける傍ら、イラストにもバタ臭いポップさを増している。イチオシの作家の一人です。
齋藤亜由美
昆虫の中に異質なモチーフがGood。アイコン的な同じ手法の作家は多々いるが、独特の塗りのライトさがきちんとアイデンティティーを生んでいる。
『SQUARE PACK0 9-10』を終えて -参加作家とリスナーのみなさまへ-
今回でvol.9を東京、そしてvol.10を大阪として無事会期を終えたArt Yard 『SQUARE PACK』展。現在までに出展された作品は延べ1,800点のジャケットサイズ作品。そして、参加出展者の中からモーモールルギャバンのアートワークを担当している森俊博や、先日ゲリラ配信をおこなっていた8ottoのアーティスト・フォトへ作品提供をおこなったRumpeeノ助をはじめ、Art Yardに関連するレコードメーカー/アーティストへの作品提供を通じて、自身のプロモートを達成した作家も本展より輩出することが出来ました。
また、演奏者として評価の高い青葉市子によるアート作品を出展することで、より音楽シーンとアートシーンとの密接な関係を肌で感じていただくことも出来たかと思います。Art Yardでも触れております五味岳久(LOSTAGE)によるTwitterアイコン作品や、母艦 : artyard studioにおいて初の個展をおこない、さらに本展覧会のライブ・パートへ出演してくれたOORUTAICHIをはじめ、世に言われる「アート」に造詣の深い、または親和性のあるミュージシャンによる自由な創作活動が存在することも、作家の皆さんに知って頂きたい部分でもあり、それらをコンセプトとして展覧会をおこなってきました。
ジャケット・アートに限らず、ミュージシャン、またはレコード・メーカーと作家が製作をおこなっていく上で、またそこに至るまでにとても重要な(そして楽しみでもある!)ことの一つは、人間同士のリアルな出会いと、コミュニケーションそのものです。
多くの人々が集まる場所(小さくて密度の濃く、社交性の高いシーンも)では様々な出会いが存在します。その機会の一つひとつを丁寧に見つめれば、どの瞬間も皆さんや私たちにとってかけがえのない財産となります。今、facebookやtwitterをはじめさまざまな便利なものがありますが、貴重な時間を割いて実際に足を運ぶ事で得られる経験は、それらのツールの利便性と相まって、私たちの活動を豊かにしてくれます。現実世界での人間同士の触れ合いは、仕事をおこなっていく上で大切な事であるのは皆さんもご存知の通りです。Art Yard/artyard studioもまたそのようにして、様々な出会いの中で制作をしています。
余談ですが、後日に素敵なアルゼンチンの作家さんを連れて本展覧会に訪れてくれたOORUTAICHIくん、ytamoちゃん、そして本年度最後にartyard studioで演奏をおこなってくれた、元あふりらんぽのピカちゃんや、アート作品に理解のあるすべてのミュージシャンと、来年からの予感に感謝した年度末でした。
2012年は、どのような年になるでしょうか。来年もまたモチベーションの高いみなさんと、再び集まれることを願っています。そしてもしかしたら、皆さんとお仕事でもお会いできれば。
来年度も、それぞれの場所で戦いつつも、ひとつの流れを意識しながら表現をしていければ幸いです。
Art Yard/artyard studio










