●よろしくおねがいします。まず、現在の弾き語りの活動に至るまでの音楽遍歴を教えていただけますか?
オガサワラヒロユキ:幼稚園の頃から4年くらいピアノを習わせてもらったり、父親が色んな音楽を聴く人だったり、音楽的には恵まれた環境だったのかな、と。ギターは中学1年生から始めて、中学3年生で初めてバンドを組んで、バンドの楽しさに目覚めました。当時はヘヴィメタル命!だったのですが。そこからは、もう抜けられなくてズルズルと・・・。高校生からは、NIRVANAをはじめ、俗にオルタナティブと言われるような音楽を聴くようになって、バンドでもそういう方向を意識するようになりました。その頃からうたを歌うようになって、曲も作るようになりました。大学生の頃には自分がうたを歌うバンドと並行して、NYパンクみたいなバンドでベースも弾いてましたね。大学を卒業して仕事を始めた後もバンドは24歳くらいまで、細々とやっていたんですが、あるライブの直前にメンバーが1人抜けて。そうしたら、残りのメンバーもモチベーションが下がってしまって、やむなく僕一人弾き語りでライブをした、それが弾き語りを始めたきっかけです。
●なんといってもあの味のある声質は天性だと思うのですが、ライブではそれ以外の部分も、例えばリスナーに対してのスタンスや空気感を創りだす流れに感動したのですが、弾き語りというスタイルでもっとも魅力的なのは何でしょうか?
オガサワラヒロユキ:実は、僕はずっとステージでは「話さない人」になりたかったんです。僕がこれまでに好きだったバンドは音だけで全てを伝える、というスタンスの方が多かったので。でも、弾き語りはステージに自分一人しかいないし、黙っていると場がもたないと感じて、それでお客さんとコミュニケーションを取るようになった、そんな単純なことです。正直、その場の雰囲気に合わせてやっているだけで特別なことはしていませんし、逆にほとんど話さずに黙々とやる日もあります。今でも、純粋に自分の演奏する音楽だけで人を感動させられたら、とは思っています。この話の流れとはあまり関係ないかもしれませんが、弾き語りというスタイルの魅力は一言で言うと自由なところだと思っています。イベントの誘いがあっても自分がやりたいと思えば、すぐにOKできるし、曲順も気分次第で変えられるし、練習も作曲も好きなときに出来る。そして何よりも、どこでもうたが歌える。そんな風に考えています。
●8/8に発売される『HAKUCHIZ』で一番こだわった部分はなんでしょうか?作曲やレコーディングの過程についてのエピソードをお聞かせください。
オガサワラヒロユキ:ポップでフラットな作品にしたい、と思って作りました。これがオガサワラヒロユキのスタンダードで、ここから次はさらにポップな方にも、もしくは少しアングラな方向にもいけるような。そして、劇的にはまってしまうと言うよりも、例えば10年後もふっと聴きたくなってCDの棚を探してしまうような、そんな長く付き合える作品になればと思っています。レコーディングは、録音を始めてからマスタリングが終わるまで1年近く掛かりました。たくさんのゲストミュージシャンに参加してもらったこともあって、その調整が大変だったり、自分自身のライブで忙しかったり、色々と要因はあったのですが。今回、京都のスタジオで録ったんですが、最初通い始めた頃は影も形もなかったコンビニが、マスタリングも終わりに差し掛かる頃には完成していたり。景色も変わってしまうくらいとにかく長かったな、と。エピソードと言えば、僕はハモるのが大の苦手なんですが、気が狂いそうになりながら7時間くらいコーラスを重ねた日があって。その後、真夜中に飲みに行ったにもかかわらず、家に帰って体重を量ったらその日だけで3キロ痩せていました。あれにはビックリしましたね。
●貴方が愛用している楽器や機材について教えていただけますか?ライブ時、レコーディング時、どちらでもかまいません。
オガサワラヒロユキ:Morrisの30年くらい前のアコースティックギターを使っています。これは母親がバザーで買ってきたもので、安いギターなんですが、弾き語りを始めるにあたって使い始めました。アコースティックギターについてはライブもレコーディングも全てこのギターを使っています。弾き語りを始めたときからずっと使っているので、とても愛着があって、気持ち悪いかもしれませんが、かわいくてしようがないんです。ただ、去年の年末にライブ中、弦が切れて、かなり感情的になっていたこともあってそのままステージにギターを叩きつけて、その後アカペラで歌ったことがありました。結果、見事にボディに穴が開きまして・・・。あの時ほどギターに申し訳ないと思ったことはありません・・・。その他、レコーディングではエレキギター、シンセ、鉄琴も弾いています。
●作曲時はどういった流れで曲を組み上げていきますか?歌詞等は書き溜めていたり?
オガサワラヒロユキ:最近は歌詞から書く方が多いです。理想は曲と歌詞が同時に出てくればいいんですが。そういう曲は滅多に出来ないので。歌詞を書いて、ギターを弾きながらメロディを乗せて、歌詞を手直しして・・・そんなことを繰り返して完成に至るパターンが多いですね。歌詞は、たいてい仕事の往復で使う電車の中で書いています。それを家に帰って曲にする、そんな感じです。
●ところで、これからのオガサワラヒロユキの表現として、コラボレーションしてみたいものなどはありますか?電車を借り切ってのライブを行ったりしていましたよね?
オガサワラヒロユキ:電車を借り切ったイベントは、かなり評判がよかったので来年もまたやりたいと思っています。今後の動きとしては、今年の11/14(土)に廃校を使った無料イベントを企画しています。これは僕を含めて5人で企画しているんですが、面白くなりそうですよ。楽しみにしていて下さい。今は、音楽以外にもたくさんの娯楽があって、なかなかライブハウスも盛り上がっていないと思いますが、生で音楽を聴くことの素晴らしさ、みたいなものをメインストリームじゃない僕たちからアピール出来たらと思っています。
音楽的には、いつかエレクトロニカのアーティストとコラボレーションしてみたいと思っています。実は、一人での活動を始める時、ピコピコいってる打ち込みをバックに歌おうと思っていたんです。ピコピコと言いつつ、踊れるようなものじゃなくて、もっとチルアウトしたような。大枚はたいて打ち込みの機材も一式揃えましたが・・・。しかし・・・実際にやってみるとあまりにも打ち込みのセンスがないので、弾き語りに落ち着いた・・・と。自分の声はそういった電子音と相性いいんじゃないかな、なんて勝手に思っていたりするんですが。とりあえずは、手始めにリミックスとかお願いしてみたいですね。
●あなたが今もっとも注目しているアーティストは誰でしょうか?また、音楽の分野以外でもオススメのアーティストはいますか?
オガサワラヒロユキ:今、と言うかここ数年なんですが、アメリカのBright Eyesと言うバンド、バンドと言うようりもConor Oberstと言う人がやっているソロユニットのようなものなんですけど。根底にはフォークがありつつも、パンクであったり、カントリーであったり、アイリッシュであったり、それこそエレクトロニカ的なアプローチもあったり。多岐なジャンルに渡りつつも、芯はまったくブレていない。僕の思う、ソロアーティストの理想形と言うか、そういう存在です。音楽以外ではありきたりな答えになってしまうかもしれませんが、手塚治虫が好きです。"ロロの旅路"と言う短編の作品をモチーフに"ロロ"と言う曲を書いたくらい。
でも、実は一番好きな作品は"シュマリ"です。男なら必読の一冊です。
●では今後の予定について、教えていただけますか?
オガサワラヒロユキ:まずお伝えしたいのはこの"HAKUCHIZ"のリリースパーティです。
8/23(日)京都・二条nano(共演:mojoco, Superfriends, Orange Stones and more...)9/13(日)大阪・難波ROCKETS(共演:ASAYAKE01+neonsign, ジャカランタン, shiba in car)
僕の大好きな最高のメンツを集めました。両日共にオガサワラヒロユキグループと言う名前のバンド編成で演奏しますが、特に、9/13(日)の大阪編は"HAKUCHIZ"に参加してくれたミュージシャンをほぼ全員集めての音源再現ライブとなります。多分、これを逃すと2度と見られないと思うので是非とも。
ちなみに、8/28(金)には東京・吉祥寺PLANET Kでもバンド編成でのライブがあります。バンド編成での東京ライブは初めてなのでとても楽しみにしています。これからもライブはたくさんあります。是非一度ホームページをチェックしてみて下さい。
●では最後に、Art Yard informerの読者にメッセージをお願いします。
オガサワラヒロユキ:最初に言ったように、僕が弾き語りを始めたのは「やむなし」だった訳ですが。だけど、そんな弾き語りの活動がこうやってひとつの作品として形になったことをとても嬉しく思っています。1stミニアルバム"HAKUCHIZ"が8/8にリリースされます。みなさん是非聴いてみて下さい。出来ることなら、10年も20年も付き合ってもらえたらと思います。そして、ライブを見に来て下さい。この作品がきっかけでそんな人が一人でも二人でも増えたら、そんなに嬉しいことはないので。
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